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隠匿の令嬢
第5章 獣の邸と淫らな教育係
「彼女はかなり貞淑な女性で攻めあぐねているんだ」
「レオが? でも心を砕いて接すれば、きっとどんな女性もレオなら心を寄せてもらえるわ」
するすると言葉を発しレオを励ますアリエッタだが、1秒でも早くここから逃げ出したい気分だ。耳の奥でガンガンと耳鳴りがするし、呼吸は苦しくなるばかり。
「そう思うか?」
「ええ」
「けどなぁ、彼女と想いが通じたとして、問題はそこからなんだ」
レオは一度宙を仰いだあと、横目でアリエッタを見遣った。
「さっきも話したが彼女は貞淑なんだ。つまりまだ純潔だってことだ」
「え? あ、の……?」
「平たく言えば処女ってことだな。そこでアリエッタの出番ってわけだ。貞淑な女性への触れ方の手ほどきをしてもらいたい」
一瞬話が見えなかった。何を言われ、何をしろと言われたか。
徐々に理解してきたアリエッタはすうっと心が冷たくなる。
レオの好きな女性との営みのため、身を捧げろ──。
そう言われたのだと理解し、遂に目の前は完全に真っ暗になった。
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