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隠匿の令嬢
第5章 獣の邸と淫らな教育係
「アリエッタ、やってくれるな」
レオの手が膝の上で硬く拳を作るアリエッタの手に伸びてきて、反射的に引っ込めた。
「む、無理よ……。私は……ここを出たら神に嫁ぐんだもの……。それにレオはその……女性とお付き合いしたことある……のよね? もしそうなら私の手ほどきなんて必要ないんじゃないかしら……」
「まあ、それは否定はしない。けど昨今の女性は性に奔放だ。純潔の女性を見つける方が難しいときてる。なに、アリエッタの純潔を奪おうってわけじゃない」
ナイトドレスに隠れた膝はガクガクと震え、鼻の奥はツンと痛い。動揺を隠すので精一杯なアリエッタの手を今度こそ捕まえたレオは、アリエッタの手を持ち上げて自分の唇に押し付けた。
「なんでもするって言ったのはアリエッタだろ?」
「──ッ!」
押し付けられた指にレオの舌が這い、ゾクリとしたものが背筋を走る。
レオは恐らく解っているのだ。最終的にアリエッタが断れないということを。
宿無しになったアリエッタはレオの厚意で邸に置いてもらっている負い目がある。そして今までの経験から一度言い出したことを、結局は翻したりしないということも。
未だ混乱の渦から抜け出せないアリエッタを立たせると、レオは寝室へと誘〈イザナ〉った。
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