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隠匿の令嬢
第2章 温室での密会
普段のアリエッタはとても慎重な性格だ。いくら公共の施設であろうとも、誰の許可もなく足を踏み入れたりしない。
ニーナと違い闊達〈カッタツ〉な性格でもなければ活発でもない。
けれど絵のこととなるとアリエッタは自分でも驚くほど積極的になる。
今もビクビクとしている反面、高鳴る興味を抑えられない。
室内は外気よりも温度が高く蒸し暑い。太陽の光を集め、閉じ込めているからだ。
鉢植えにされた植物は露に濡れ、鮮やかな色彩を放っている。
地べたに植えられた植物、棚の上で鉢植えの中で咲き誇る花は一冊のスケッチブックに描ききれないほど多く、アリエッタは眼を輝かせゆっくりとした足取りで一つ一つを眼に焼き付けながら歩いた。
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