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隠匿の令嬢
第6章 恥じらう乙女と卑猥な遊戯
二人は山盛りあった料理を綺麗に平らげ、アリエッタ自らお茶を二人に振る舞う。
「今朝は大変だったみたいね。あれだけの封書はどこから届いたの?」
ソーサーの上に香しいダージリンティーが入る金縁の上品なカップを置くと、ランチタイムはたちまち和やかなティータイムに変貌する。
ナキラがあらかたお菓子を食べたせいで、僅かなクッキーやエッグタルトしか残っていないが、料理で満腹な三人には十分だろう。
「あれですかー? 王城から届いたんですよ。なんでも市民からの礼状がわんさか届いたって。それをこちらの邸宅まで送ってきたんです」
「礼状?」
「はい。ほら、デュアス公爵の領地で暴動が起こったって話知りません?」
「デュアス公爵……?」
新聞でも大々的に取り上げられたスキャンダル。アリエッタは新聞で読んだ覚えはあったが、別のどこかでその名を見た記憶があり辿る。
そうして至った先はレオの執務室で自分が読み上げた書面にあり。ほんの数日前の出来事であるのに、記憶が曖昧になるほど乱され。思い出したアリエッタは頬を赤らめた。
「どうかしました?」
「い、いいえ。ごめんなさい。それでそのデュアス公爵の件が礼状に関係あるの?」
顔を赤くするアリエッタを不思議そうに見るナキラとキッシュを笑顔で躱〈カワ〉し、取り繕う。
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