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隠匿の令嬢
第7章 危険な一夜
色恋沙汰に疎いアリエッタも、ニーナのこんな顔は初めてで。何か思うところがあるのだろうと睨む。しかし彼女の性格上、人にあれこれ言われると余計に意固地になるのを承知しており、敢えては聞かなかった。
「驚いたと言えば、セドリック様がレオの従弟だったなんてね」
「“レオ”! いつからそう呼ぶ仲になったの!?」
「それは……。そう呼べっておっしゃるから」
そう言えば、ニーナは以前レオに気を付けろと注意を促していたのだった。あまりに目紛しく環境や状況が変わり、すっかり忘れ去られていた。
「あのね、でも誤解しないで? レオ……ナルド様の肖像画を描く間だけお世話になってるのよ」
「別にいつも通り呼べばいいわ。レオナルド様がアリエッタを大切にしてくださるなら、文句はないわ。それにしてもどういう経緯でレオナルド様のお邸に行くことになったの?」
「さっきもレオ……がご説明されたでしょ? 手違いで寄宿舎を出ることになって。偶然居合わせたレオのご厚意に甘えることにしたの」
「それを信じろって? アリエッタがそう言うならいいけど……」
ニーナは恐らく真実ではないと気付いているのだろう。だがアリエッタはニーナに嘘をつくのは忍びないが、心配をかけまいとレオの話に乗ることにしたのだ。
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