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隠匿の令嬢
第7章 危険な一夜
「やっぱり少しお休みになられた方がいいわ。目元が赤くなってるもの。私はもう少し……」
「アリエッタが添い寝してくれるなら寝る」
『散歩をしてから帰る』と言おうとしたのを遮り、朝の爽やかな陽射しを浴びたレオは間髪入れずに言う。
情景と不釣り合いな淫蕩な雰囲気を帯び出したレオにアリエッタは慌てる。旅先では給仕や教育係をやらされはしないだろうと気を抜いていた。
「もう、子供みたいなこと言わないで」
わざと茶化す。そうでもしなければ、レオの色香に呑み込まれ、身体に刻み込まれた官能が引き摺り出されてしまうから。
何年も頑なに閉じてきたアリエッタの欲望へと続く扉の鍵は、レオの支配下に置かれてしまっていた。
「子供じゃないから言ってるんだけど?」
「言ってる意味が解らないわ。あ、ねえ。ニーナから聞いたんだけど、あっちに花畑が……」
「アリエッタ」
惚〈トボ〉けて話を逸らしてみても、レオが阻んでくる。
早朝の空気は澄んでいて肌寒いくらいだというのに、甘さを孕む声に反応し、内側に秘めた欲望が扉を抉じ開け出ようとしていた。
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