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隠匿の令嬢
第7章 危険な一夜


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 アリエッタは昨夜ニーナと約束していた、男爵が収集した美術品を見せてもらっていた。


 二人とも仄かに肌が色づき、どこかよそよそしい。悪戯を隠す子供のような気まずさを漂わせ、美術品が飾られる部屋にいた。


「こちらのも……素敵ね?」


「え、ええ、そうでしょ?」


 感想とも言えない感想を述べるアリエッタはニーナを正視出来ない。ニーナもそわそわとしているから、そんなアリエッタを気にも留めてない。


 セドリックとのことを聞いてみたいが、キスをしているところを見たとも言えないし、どこから見ていたか聞かれても答えられない。


 絵画や彫刻、鮮やかな絵柄の壺が所狭しと並ぶ部屋にいても感動できないのが残念なくらいだ。


 そうして見て回っていると、壺が飾ってある棚の後ろに紙が落ちているのに気が付いた。


「ニーナ、あれ……。なにか落ちてるわ」


 先に気付いたアリエッタはニーナに教えると「本当だわ」としゃがんで紙を爪先で挟み、引っ張り出した。


 その紙には絵が描かれていた。


 ニーナが広げるそれを二人で覗き込むと、二人して固まってしまった。







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