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隠匿の令嬢
第7章 危険な一夜
そして夜。晩餐の場でもニーナは一言も男爵と話さず、夫人にも話が伝わっているようで夫人も男爵の方を見もしない。
男爵は項垂れ、早々と部屋に戻ってしまい、夫人もツンと不機嫌な様子で席を外した。
「まったく、お父様ときたら! ねえ、皆様方。あたしに付き合ってくれるわよね? そうよね?」
ニーナは怒り冷めやらないと言った風に侍女に酒瓶をいくつも持ってこさせた。
「春画くらいでそう怒らなくってもいいじゃない」
「はぁ!? なにかおっしゃった?」
セドリックが宥めようとしたのも逆効果であったようで、ニーナはセドリックのグラスに酒をなみなみ注ぐ。
「あれ、絶対尻に敷かれるな」
アリエッタにレオはくつくつと喉を鳴らし、耳打ちする。
「レオナルド様もそんなに呑みたいんですね」
耳打ちにもピクリと反応したニーナは、レオにも容赦なく注ぐ。
「はい、アリエッタも。いいわよね? 今日はとことん! 付き合ってもらうから!」
「ニーナ! 私はお酒はちょっと……」
「少しくらいいいじゃない。それともあたしのお酒が呑めないっていうの?」
「そういうわけじゃ……」
素面だというのにニーナは眼を据わらせ、怒り心頭だ。
「少し付き合ってやれ。でないとあれはおさまらないぞ」
隣でレオが肩を竦める。
「そう……みたいね」
コプコプと注がれる液体。こうなったら覚悟をするしかないみたいだ。
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