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隠匿の令嬢
第7章 危険な一夜


「乾杯っ!!」


 ニーナが音頭を取り、それぞれがグラスを傾ける。


 アリエッタは未だかつて酒を口にしたことがない。レオの邸で出されたシャンパンは呑めないからと断った。


 芳醇なフルーツの香りがするワインは血のように赤い。恐る恐る口に流すと、喉が焼けるように熱くなり、途端に噎〈ム〉せこむ。


「大丈夫か? 無理はするな」


「え、えぇ」


 ナフキンで口許を拭い、グラスをそっと置こうとすると、ニーナがそれを許さなかった。


「レオナルド様。アリエッタに甘過ぎじゃありませんこと? アリエッタも乾杯に倣って、グラスを空にするまで呑ませるわよ」


 ニーナのグラスはすでに空だ。今度こそ本当に酔っぱらっているらしい。


「こら、ニーナ。絡まないの」


「セドはもっと呑んでもらいますから! お客様がいるってときにあんないやらしい絵を見付けてしまったあたしを慰めてくれるわよね?」


「……ニーナは今後お酒は控えたほうがいいわね」


 ニーナにお酒を注がれるセドリックは、独り言のようぼやいた。






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