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隠匿の令嬢
第7章 危険な一夜


 レオはそんなアリエッタを横抱きにする。ふわりと浮いたアリエッタは本当に羽根が生えたのかと思った。


「いいから言うことを聞け」


 レオは子供をあやすように腕の中のアリエッタに優しく話し掛ける。アリエッタはふわふわとしているのが気持ちいいのか、大人しく腕の中におさまっていた。


「では、俺も失礼させてもらう」


「こらー! 逃げるなー!」


「そーよ、そーよ! 夜はまだ長いのよー!」


 追い掛けてくる声に振り返らず、レオはアリエッタを抱き、アリエッタの部屋まで運んだ。





 レオはアリエッタを寝台におろすと、ナキラに水を用意させていた。ナキラはすぐさま水瓶からグラスに水を注ぎ、アリエッタに呑ませようとする。


 だがレオがグラスをナキラから奪うよう受け取った。


「あとは俺が面倒を見ておくから下がっていい」


 ナキラはレオのその行動に特に驚くでもなく、恭しく頭を下げる。


「畏まりました。ではなにかあればお呼びください」


「ああ」


 寝台に座り、ふらふらと上体を揺らすアリエッタは出ていくナキラににこにこと笑顔を送るだけ。いつものアリエッタならナキラに礼を言ったり、レオが世話をすると言うのも断っていただろうのに。


 それだけ酩酊し、周りの状況をも理解してなかった。





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