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隠匿の令嬢
第2章 温室での密会
「そう怯えないでください。そんなに凶悪な顔してます?」
ふるふると首を横に振る。それで精一杯の意思表示だ。
「困りましたね。──“灰ネズミ”のアリエッタ?」
アリエッタは再び瞠目する。見知らぬ男性がなぜ自分の名を知っているのか?
確かにアリエッタは異質だ。悪い意味で目立つ。
しかし同じ教授の講義を受けている学生や、アリエッタより二年早く学校へ通っているニーナの知り合い以外でアリエッタを知る人物はいない。
貴族の令息令嬢からしてみたら、アリエッタなど気に留めるような存在ではないからだ。
「ああ、これは失礼。私はレオと言います。どうぞお見知り置きを」
男──レオは立ち上がり、優雅に礼をしてみせた。
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