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隠匿の令嬢
第8章 忍び寄る影


 昼前になり、レオがアリエッタを訪ねてきた。


「調子はどうだ?」


「随分良くなったわ。ナキラから聞いたんだけれど、レオが私を運んでくれたって。迷惑かけてごめんなさい」


「いや。俺もきちんと止めてやればよかったんだが。ニーナ嬢はなかなか手強いな」


「ふふっ。そうね。でも楽しい子でしょ? 自慢の友人なの」


「そうだな。そういえばアリエッタ……本当に昨夜のことは覚えてないのか?」


「え? ええ……。私、なにか失礼なことしてしまった?」


「あー、いや……。だが当分は酒は呑まさないでおく」


 こっちの身が持ちそうにない……と小さく呟いたレオの声は届かなかった。「え?」と聞き返すアリエッタであったが、レオは話題を変えてきた。


「調子が良くなったなら俺と街へ出てみないか? ニーナ嬢はたぶん夕刻まで起きてこないだろうから。明日には戻らなければならないんだから、何もしないのは勿体ないだろ?」


「それもそうね……。レオがいいならお願いしたいわ。でもその前にニーナのところへ行ってきてもいい? まだ起きれないなんて心配だわ」


「わかった。ああ、そうだ。今日はそのドレスは着ていくな。ナキラにあとのことは頼んであるから、指示に従ってくれ」


「……? わかったわ」








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