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隠匿の令嬢
第8章 忍び寄る影
「レオナルド様が? アリエッタにくださったの?」
「ええ、そうよ」
問うたニーナは腕を組んでなにかを考え込む。どうしたのかと首を傾げていれば。
「ねえ、レオナルド様ってアリエッタのこと好きなのかしら」
思いもよらないことをニーナは言い出し、眼を見張る。
「まさか、そんなこと……」
ついて出たのは否定。なぜそんなことを言い出したのかもアリエッタには解らない。
「だってピンクのガーベラの花言葉は熱愛や崇高な愛よ? なんとも想ってない女性に贈るかしら?」
「それはたまたまよ。花売りの子が持ってた物を買っただけ。ニーナったら考えすぎよ」
「そうなの? うーん、でもなぁ……」
ニーナはまだ腑に落ちない様子だ。
だがレオがアリエッタを好きだと言うのは絶対的に有り得ないことだ。なぜなら彼は想いを寄せる令嬢がいるというのだから。それも数年も前からの。
アリエッタとレオが出逢ったのはほんの数ヵ月前。アリエッタであるはずがない。
それにだ。ニーナに……他の誰にも口が裂けても言えやしないが、レオの想いを成就させるため、アリエッタは彼の教育係をしているのだ。
そこまでアリエッタにさせてまで想いを遂げたい女性がいるのだから、やはりアリエッタではない。
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