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隠匿の令嬢
第8章 忍び寄る影


 しかしそれを思うとちくちくと胸が痛み出す。時には胸が張り裂けてしまいそうなくらい痛む。


 その痛みがどこからやって来てアリエッタを苛んでいるのか──きっと彼女との約束を破り、レオに触れられているせいだと思っていた。


 そして自身もレオに触れられることを望んでいるせいだとも。




 甘やかな時間はアリエッタの罪も、与えられている罰を忘れさせ、心を上滑りしていく。しかし無くなるわけではない。


 足元にずしりと溜まり、独りきりの時間が来ればざわざわと蠢いて肌を、内部を浸食していく。


 罪で穢れた身をレオに触れさせている罪悪感もあった。


 ──それだけよ。他に理由なんてない。




 胸の痛みを起こしているのは“罪悪感”から。


 自問の末に辿り着く答えはそれしかなかった。










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