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隠匿の令嬢
第8章 忍び寄る影



 実のところアリエッタは学校へはもう行かない心積もりでいた。


 学校へ通うより、一日でも早くレオの肖像画を仕上げ、この邸から去るつもりだったからだ。


 いつまでもレオの親切に甘えているわけにはいかない。悠長に学校で学び、安穏と過ごせるわけはない。


「レオ、私ね……」


「待て。言いたいことは何となく解るが、この邸にいる以上は俺の意向に従え」


 強い口調ではないものの、そう言われてしまうと口を噤むしかない。アリエッタはレオに世話になっている身だ。逆らえるわけがない。


「まあ、なんだ。色々と思うところはあるだろうが、今は聞き入れてくれ」


「……はい」


「でだ。ニーナ嬢の馬車に乗るのは男爵にも話はついている。俺と馬車に乗っていってもらってもいいが、キミを煩わせる事態が降りかかり兼ねない。それに俺も毎日学校へと行くわけじゃないから、不測の事態が起こっても庇ってやれない。だから明日からはニーナ嬢と行け。いいな?」






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