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隠匿の令嬢
第9章 息を殺して生きる理由



 それはアリエッタが7歳、リリスが5歳のときであった。


 どういう経緯であったか記憶は曖昧であるが、その日アリエッタとリリスは使用人しか入らない厨房に忍び込んだ。


 本当はいけないことだ。けれどそれまで窮屈で規律正しい生活をしてきたアリエッタは、大勢の使用人にリリスの手を引いて見付からないように行き、コックの眼を盗んで厨房へ入るのは、邸の中であっても冒険をしているような高揚感もあった。


 厨房は調味料からだろうか、甘い匂いや芳しい香りが立ち籠め、幼い子にとっては宝箱みたいな場所で。


 アリエッタはこの頃から絵を描いてもいたので、見たこともない調理器具や食材に眼をキラキラとさせ。



 だけれど、そんな高揚感や感動は銅製のやかんが床に転がる音と、リリスの悲鳴とで一瞬に暗闇へと消え去った。


 呆然と立ち尽くすアリエッタを余所に使用人たちも悲鳴を上げ、泣き叫ぶリリスの手当てに右往左往し──しかし、リリスには一生涯消えぬ火傷の痕が腕に残ってしまった。







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