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隠匿の令嬢
第9章 息を殺して生きる理由
なにかにつけてアリエッタを「駄目な娘だ」と罵り、そんなだからリリスに怪我をさせるのだと言い。
アリエッタが話しかけても冷たくあしらわれ、時には無視をされ。眼が合うと「気に食わない」と侮蔑され、やがて習い事もひとつずつ減らされ。
「どうせお前にやらせても、出来やしないだろう」
そう言って父からひとつ、ひとつ自由を奪われていった。
アリエッタはそう言われるたび、自信を無くしていき、自分というものまで無くなっていくようで。
そんな中、怪我の直後はまだ笑いかけてくれていたリリスまで、アリエッタのせいで痛い思いをしたんだと泣いて責めてくるようになった。
アリエッタはひたすら謝った。自分のせいであることには違いない。どんなに謝っても取り返しがつかないのだと理解したときには、アリエッタの居場所はもうどこにもなかった。
慰めてくれていた母も父には逆らえず、癇癪を起こすリリスの面倒で疲れきっていて。
父が後継者をリリスにすると宣言したときも、アリエッタはただその命に従った。
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