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隠匿の令嬢
第9章 息を殺して生きる理由
その年のアリエッタの誕生パーティーはそれまでは親族や父母の友人を招いて盛大に行われてたものが一転し、ごくごく内輪だけのものとなり。
貰ったプレゼントは人形をひとつだけ。その人形をもリリスが父母のいないところで欲しいとせがんできて。
自分に貰った物をあげていいものか迷っていれば。
「お姉さまは私に痛いことしたのに、お人形もくれないの?」
そう言われてしまうと、あげないわけにいかない。いや、彼女には全てを差し出しても足りないくらいだ。だからたったひとつのプレゼントもあげた。
だがリリスは飽きてしまったのか、それともたまたま忘れたのか。
リビングの床に人形を無造作に置きっぱなしにし、偶然見付けた父の癇に障わってしまった。
「私のあげた物が気に入らないなら、お前にはもうなにもやらん!」
父はアリエッタを怒鳴りつけ、それ以降の誕生日にはプレゼントは無くなってしまった。
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