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隠匿の令嬢
第9章 息を殺して生きる理由
その後、アリエッタは誰にも嫁がず、修道院へと行くことが決まった。
元よりアリエッタは敬虔な信徒であり、神へと仕え、生涯を終えていくのはなんら悪いことではない。
邸に、そして家族に居場所のないアリエッタには寧ろ幸福であるだろう。
だが父はすぐに行かせなかった。
理由は告げられなかったが、修道院へ行くと決まってから一年後。なぜか突如として学校へ通わせてもらえる運びとなった。
ザキファス家の娘であることを誰にも知られず、一年間だけという条件はつけられはしたが。
リリスは当然反発した。
お姉さまになぜ学校へ行かせるのか。自由をなぜ与えるのか。
けれど父は初めてといってもいいが、リリスの強い反発を跳ね退けたのだ。
──それを期に、更にリリスの当たりが厳しくなったのは言うまでもない。
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