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隠匿の令嬢
第2章 温室での密会


 アリエッタは無意識に唇を指でなぞる。


 なぜ彼はあんなこと……。


 アリエッタは眺めるばかりで内容が頭に入ってこない本を閉じ、出窓に腰掛け月を見上げる。


 月はレオの髪と同じ色で夕方の出来事を思い出してしまう。


 レオはアリエッタに温室の鍵を貸すと申し出てくれた。もちろんアリエッタは丁重に断った。初対面の人に親切にされる謂れがないからだ。


 温室は絵の題材の宝庫で魅力的な申し出ではあった。心では借りたいと願っていた。それでも有り難い申し出を受けるわけにいかない。


 アリエッタは欲することも願うことも、本来赦されてないからだ。


 頑なに断るアリエッタに、レオはある条件を飲むこととお礼を一つ貰うからと言ってきた。







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