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隠匿の令嬢
第10章 真夜中の逃亡と──
一旦正門へと駆けたレオは衛兵からアリエッタを見掛けてない旨を聞くと、すぐさま引き返して裏口へと駆ける。
その裏口からは東西と北へと伸びる道がある。
──どっちだ? アリエッタはどっちへ行った!? よく考えろ!
焦り逸る気持ちを押さえつけ、レオはくしゃりと月色の髪を握る。
アリエッタはこの辺りを知らないし、おそらくどちらへ行くかまでは余裕はなかったはずだ。
朦朧と歩いていたとすれば、曲がることさえしなかっただろう。
──北か!
時間的にいっても、出ていったとしても然程遠くへは行ってないだろう。
あんな状態で走ったとも思えない。
必ず見付けられる──。
レオはなりふり構わず走っては細い路地のところで立ち止まり、暗闇に眼を凝らしてはアリエッタを呼び、耳を澄まして物音がしないと確認してはまた駆けた。
──どこだ!? どこにいるんだ!?
方向を間違えているのではと不安を募らせながらも、己の勘を信じ、ただ走った。
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