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隠匿の令嬢
第10章 真夜中の逃亡と──
「ひっ!!」
レオの殺気にあてられた男たちは、短い悲鳴を上げ、もたつく足取りで立ち去った。
レオは居なくなるのを確認し、鍔鳴りをさせて剣を納める。
「良かった、無事で」
剣と共に殺気も納めたレオは安堵の息を洩らした。
どうしてここにレオがいるのか、信じられない気持ちでいたアリエッタは立ち尽くしたまま。
しかしレオが「帰るぞ」と優しげに声をかけ、アリエッタに近付こうとしたとき、反射的にアリエッタは身を捩って逃れようとした。
「……ぃやっ」
拒絶の声も洩れる。
一度見限ったのならば、もう放っておいて欲しかった。助けても欲しくなかった。
せっかくあと少しでリリスの願いを叶えられたというのに……。
アリエッタは悲痛に顔を歪ませ、レオから逃れるべく走ろうとするも、容易に捕まる。
「どこへ行く!? また襲われたいのか!?」
憤るレオの怒声が背中に浴びせられる。
「もう……私のことは構わないでください」
アリエッタは潰されそうな胸から声を振り絞った。
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