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隠匿の令嬢
第10章 真夜中の逃亡と──
引き金となったのは、レオに感情をぶつけられたからであろう。アリエッタにも理由は曖昧ではあるが、なぜか渦巻いていた感情が堰を切って溢れ出していた。
「ではあのままどこの誰ともわからない輩に、乱暴されても構わなかったと?」
「はい……はい、そうです」
見上げたレオはとてつもなく怒りの色に染まっている。アリエッタはそのレオを泣きそうな面持ちで見詰めた。
「はっ……。そんなに男に抱かれたいなら、今すぐ俺がしてやる」
嘲るように笑われ、一層泣きたくなってきた。
「服を脱いで脚を開け。そうすれば望み通り貫いてやるぞ」
冷たい眼差しが心身を突き刺す。
引き裂かれそうな心とは裏腹にアリエッタはふわりと笑う。
「あなたでは駄目なの。……あなただけは」
いよいよ我慢がきかなくなったアリエッタの眦から涙が零れ落ちる。
人の前で泣いたのはいつぶりだろうか……。
そんなことを気にする余裕もないアリエッタは誓約をも忘れ、面喰らうレオに涙しながら笑いかけていた。
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