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隠匿の令嬢
第10章 真夜中の逃亡と──


「ん、くぅ……ふ……っ」


 自らの指を食み、羞恥に洩れる声を我慢するアリエッタは婀娜〈アダ〉めかしい。その様がより一層レオの欲望を煽るとも知らず、口淫に耐える。


「舐めても舐めても溢れてくるな、キミのここは」


「……っ」


 言われずともアリエッタは感じとっていた。


 あやすような舌使い。奥の疼きに呼応し、アリエッタの意志ではどうにもならないくらい、あとからあとから湧いてくる。


「私……変ですか?」


 侍女の情報でしか蜜事を知らないアリエッタ。その情報も断片的なもので、レオの指や舌を受け入れた場所があるのも、つい最近知ったほどだ。


 こんなに感じてしまうのは、どこかおかしいのではと不安になる。


 レオはアリエッタの問いに眼を丸くし、破顔する。


「いや。変じゃない。可愛がる甲斐があるよ」


「う……ありがとうございます」


 生真面目に礼を言えば、ますますレオは愉快そうに肩口を揺らした。しかし笑いをふっとおさめると、真剣な眼差しが注がれた。


「だが可愛がるだけでは物足りなくなってきた」


 くぷ……と2本の指を蜜口に軽く挿し入れ、広げる。


「ここに挿れていいか?」


 肉食獣のような凶暴な光をきらめかせ、乞われる。


 アリエッタは息をするのも忘れて唇を引き結び、そっと頷いた。







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