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隠匿の令嬢
第11章 夜会での邂逅


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 ある日、レオは執務室で山のように積まれる書類を尻目に皮の重厚な椅子に腰掛け、膝にアリエッタを据えて淫靡で熱い口づけをしているところ、来訪を主張するような大きなノック音が響く。


 その音に驚いたアリエッタが弾かれるように膝から飛び降り、少し乱れたドレスの裾を直す。


 タイミングを見計らったよう、ジョシュアが執務室に踏み込んできた。


「失礼致します。レオ様、少しよろしいですか?」


 ジョシュアが居心地悪そうにしているアリエッタをちらり、盗み見て。含みのある言い方にアリエッタには聞かれたくない話だと察し「外してくれるか」とアリエッタに退室を促す。


 紅潮する頬を波打つ髪に隠し「ええ」と上擦る声で呟き、パタパタと出ていくアリエッタを見送った。


「……レオナルド様」


 ジョシュアがレオを『レオナルド』と呼ぶときは、小言を言う合図みたいなものだ。


「どうした?」


 内心肩を竦めながらも、レオは微笑を向けた。





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