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隠匿の令嬢
第11章 夜会での邂逅


「話はそれだけか?」


「いえ。本題はここからです」


 ジョシュアは一度唇を引き結び、軽口の雰囲気を散らす。


「例の件、すべて準備が整いました。やはりレオ様のご想像通りであったのも確認出来ております」


「……そうか。タイミングがいいな。二週間後、行動を起こす。くれぐれも証言者を逃すな」


「心得ております」


 ジョシュアは用件を終えたとばかり一礼し、部屋を出ようとしたので呼び止める。


「アリエッタのドレスの新調も忘れるな」


「はい、かしこまりました」


 今度こそジョシュアは退室し、一人きりの執務室でレオは窓際へと行き、外を眺める。


 手はずは整った。あとは思い通りに事が運ぶのを願うだけ。


「もう少しで解放してやるから」


 レオが独りごちたとき、植木から小鳥が羽ばたいて空高く舞っていった。




 あの鳥のよう、自由に彼女を飛び回らせてやりたい。


 抱える重しを取り除き、もがれた羽さえ取り戻すと胸に誓った。





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