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隠匿の令嬢
第11章 夜会での邂逅



 髪型をあれやこれやと提案してくるナキラをどうにか宥め、瑠璃色のドレスを脱ぎ別のドレスを着ると、その足でレオの執務室を訪ねた。


 オイルランプの光を頼りに書類に眼を通していたレオは、アリエッタの訪問でその手を止める。


「邪魔してごめんなさい。少しいいかしら?」


「ああ、もちろん」


「明日のことなんだけど、レオは私をパーティーに連れて行くつもりなの?」


「そのことか。そうだぞ。ドレスは気に入ったか?」


「……私、着られないわ。パーティーにも行けない」


 身体の前で揃える手を握り締め、アリエッタは毅然と伝える。それを聞いてもレオは動じる様子はない。


「俺が教えてなかったから拗ねてるのか? 言い訳に聞こえるかもしれんが、キミに気を遣わせたくなかったから、ギリギリまで教えなかっただけだ。許せ」


「違うわ、そうじゃないの」


 自分だけ知らなかったのはショックであったのは確かだが、レオのことだ。理由はそんなところだろうと予想はついていた。


 それに教えてもらっていてもアリエッタにはなにも出来なかっただろうから、不甲斐なさは感じても拗ねたりはしない。





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