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隠匿の令嬢
第11章 夜会での邂逅
この日もほとんど進められないまま時間が過ぎ、気が付けば外は茜色に染まっていた。
もうレオは出掛けただろうか?
今頃はパートナーとなる女性を見付け、王城に着いただろうか。それとも思い切って想い人を誘ったのだろうか。
いつまでも考えていたって仕方のないことであるのに、喉に詰まる息苦しさが考えるのをやめさせてはくれない。
輪郭だけの、己の描いたレオにさえ愛しさが込み上げる。
「レオ……」
乾いた絵の具にそっと指を滑らせ、彼の名を呟く。
と、その時だ。けたたましくドアを叩かれ、返事を待たずにナキラが飛び込んできた。
「アリエッタ様、すみません!」
どうしたものかとアリエッタは椅子から立ち上がり、息を弾ませるナキラに視線を送る。
「レオ様が……レオ様が大変なんです! すぐにいらしてください!」
「レオが……?」
ただならぬナキラの様子にアリエッタの心臓は大きく鼓動を打った。
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