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隠匿の令嬢
第11章 夜会での邂逅



「無事ってなんのことだ? 俺ならこの通り、どこも問題ないぞ」


 けろりと言われ、アリエッタは安堵の息を洩らすも、ジョシュアが「問題ないことはないでしょう」と厳しい眼差しをレオに注ぐ。


「レオ様がパーティーに行かれない、というのです。アリエッタ様からも出席するよう、説得してください」


「え?」


「あとはお任せしますから、必ず出席させてください」


 ジョシュアは眉をそびやかし、部屋を出ていってしまう。


 レオはその間も我関せずとばかりに黙々とペンをインクに浸しては、書類にサインをしたり、なにかを書きこんだりしていた。


「レオ、今の話本当なの? パーティーに出ないって……」


「ん? まあな」


 平然と言ってのけるが、とんでもないことを言っている自覚はあるのだろうか。


「レオの誕生パーティーなのよ? 主賓のあなたが出席しないなんて、あってはならないことよ?」


 珍しく厳しい口調で話すアリエッタにレオは悠然と笑った。


「そうだな。下手したら王太子としての資質を疑われ、資格剥奪されるかもな」






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