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隠匿の令嬢
第11章 夜会での邂逅
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王城は首が痛くなるほど見上げる、厳かな建物だ。高い城壁に囲まれ、いくつかの三角屋根が見受けられ、門塔や別棟まである。
衛兵が固める門を2頭引きの馬車でくぐり、居館の前に馬車が止まると、レオにエスコートされアリエッタは馬車から降り立つ。
「レオナルド様、皆様方がお待ちです」
玄関ホールに踏み入れると、燕尾服を着た老紳士が迎えた。
「ああ」
瑠璃色の豪勢なドレスを纏うアリエッタの腰を抱く、正装をしたレオは一段と麗しい。
アリエッタは王城という場所や迎える老紳士、それに馴れないパーティーに気後れしながらも、レオに恥をかかせまいと精一杯堂々としてみせる。
どこからか音楽が聴こえ、そこを目指すようにレオは進む。
おそらくパーティー会場の大ホールであろう。
その大ホール前まで到着すると、レオに微笑みかけられた。
「今日はアリエッタの社交界デビューの日でもあるな。緊張せず、愉しめばいい」
とても愉しめる気分じゃない。緊張と不安で今にも卒倒しそうだ。
だがここまで来てしまったのだ。今さら足掻いても仕方ないと、軽く頷いて応えた。
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