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隠匿の令嬢
第11章 夜会での邂逅



 使用人が扉を開けると、レオの邸より更に豪奢なホールに迎えられる。


 高い天井には艶やかなフラスコ画が描かれ、大きなクリスタルのシャンデリアがホールの角まで光を照らす。


 その下で談笑する貴族たちがレオの到着に気が付くと、一斉に盛大な拍手を送ってきた。


 そうして次々に祝いの言葉を述べに人がやって来る。驚くのは、そのほとんどすべての人の名をレオは把握してるということだ。


 彼の頭脳が優れているのは明瞭であるが、アリエッタにはとても真似できないと感心する。


「レオナルド王太子殿下、おめでとうございます」


 お決まりの文句のあと、必ず聞かれるのは隣にいるアリエッタのこと。


「そちらの美しいご令嬢はどなたです? レオナルド殿下にそのような方がいたとは、隅に置けませんな」


「彼女は残念ながら友人です。今のところは、ですが」


 レオはアリエッタとの約束を守り友人ということにしてくれてはいるが、わざわざ付け加えて“今のところ”なんて言わなくていいのに、と思ってしまう。


 しかし大勢の眼がある場所で咎めることも出来ず、ただ曖昧に微笑むだけ。







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