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隠匿の令嬢
第11章 夜会での邂逅


 挨拶に来る者の中には、学校で見かける顔もあった。


 皆一様に『なぜアリエッタがここに』という驚きと、あからさまな敵意を剥き出しに、遠目で眺めている者もいた。


 視線が痛く、そちらを見る気にはなれないが。



「レオ、おめでとー!」


「レオナルド様、おめでとうございます。アリエッタも来てたのね!」


 名だたる貴族の挨拶が終わった頃、セドリックとニーナの姿もあり、親しい顔ぶれに緊張が少しだけ和らぐ。


「ええ。ルードリアン男爵は今日は要らしてないの?」


「そうなの。実は持病の腰痛が悪化してしまって。レオナルド様にくれぐれもよろしくと仰ってたわ」


「そうか。では今度見舞いの品を贈らねばな。大事にしてくれ、と伝えてもらえるか」


「はい、わかりました」


 セドリックがレオと談笑を始めると、ニーナがアリエッタに顔を寄せてくる。


「アリエッタ、来て大丈夫なの? その……ほら、ね」


 言わんとしているところは解る。まだ挨拶を済ませてない有力な貴族の中に父であるザキファス公爵がいる。


 広いホールのどこかに必ずいるはずだ。



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