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隠匿の令嬢
第11章 夜会での邂逅
「平気よ。それも覚悟してきたから」
「覚悟って……あ」
ニーナはなにかに気が付くと、恭しく頭を下げて身を引いた。ニーナが頭を下げた先には、一際気品の溢れる紳士と淑女が立っていた。
レオも彼らに気づくとジョシュアと話すのをやめ、アリエッタの腰を抱いて彼らと向き合う。
「アリエッタ、紹介する。父と母だ」
「レオのお父様とお母様?」
では彼らが広大な敷地を誇るラインハルトの王と王妃なのか──。
そう言われてみると、王の瞳は琥珀色をしていて、王妃の髪は月色だ。王は年こそ取ってはいるがとても精悍な顔付きで、王妃はまだ少女のように若々しく美しい。
「申し遅れました。私レオナルド様の学友のアリエッタ・ベオグラードと申します」
一国の王と王妃を前に緊張が走るが、なんとか滑らかに言葉を紡ぎ、スカートを広げて膝を落とす。
「畏まらなくてもよい。レオから聞いてるよ」
「可愛らしいお嬢さんね。噂以上だわ」
二人はアリエッタの緊張を解すよう、柔らかな笑みを浮かべた。
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