この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
隠匿の令嬢
第11章 夜会での邂逅
王たちの口振りから、アリエッタのことをレオは話していたのだ。ただどういうふうに伝えたかまで問い詰める気はない。
それに知っていてもおかしくはない。レオは普段、王太子であるよう振る舞わないので、あまり実感はないが、正装をし、名のある貴族がこぞって祝いにくる場面を目の当たりにするとやはり王太子なのだ。
その彼の邸に見知らぬ女が出入りしているとどこからか漏れたなら、王太子でなくとも両親ならば心配するだろう。
以前暮らしていたザキファス邸のよう、どこへも出さず、誰にも知られず、使用人のお仕着せで生活してるならいざ知らず。
いくらルードリアン男爵に協力を仰ぎ出来得る限り隠していても、人の口に戸はつけられないものだから。
「アリエッタは絵を描くそうね」
「はい。学校では以前宮廷画家を務めてらした、ギルデロイ教授に教えていただいております」
「なんと! ギルデロイとは懐かしい名だ。彼は息災か?」
「とても元気でいらっしゃいます。ですが今年限りで学校を去られるそうです」
「まあ、そうだったの。そうだわ! ギルデロイが職務を終えたら、王城に招いて晩餐会を催しましょう。ね、王様」
「それがいいな。アリエッタもぜひ来てくれ」
.