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隠匿の令嬢
第11章 夜会での邂逅
アリエッタは王の誘いにはっきりとは答えず、微笑むに留めた。ギルデロイが学校を去る頃にはアリエッタもレオの邸にいるかどうか解らない。
そうとは知らない王は上機嫌に話す。
「その前にレオと来てくれても良いのだぞ。美しい女性が食卓にいるのは、それだけで華やぐからな」
「あら、それは私では役不足ということ? 妻の前で堂々と女性を口説くなんて、度量の大きいことですこと」
「お、おい。違うぞ」
上機嫌が一転、ツンとする王妃に慌て出す。
「そうですね。息子のガールフレンドを……しかも母上の前でとは。私には真似出来ませんよ」
「こら、レオまで何を言うか。おい王妃も聞いてくれ」
王が王妃の機嫌を取ろうとしているところ。レオが耳打ちする。
「父はからかうと面白いんだ」
小声でウインクするレオ。王たる父をからかうなんて、なんて人だ。王妃もまた悪戯が成功したように、堪えきれない笑みを口許に滲ませている。
面立ちもそうだが、性格もレオは王妃譲りに見えた。
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