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隠匿の令嬢
第11章 夜会での邂逅


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「疲れただろ? 少し風に当たろうか」


 レオがバルコニーに誘ったのは、ダンスを終えてからだった。今夜のために招かれた楽団が優美な音楽を奏でるなか、主役であるレオとアリエッタは紳士、淑女に見守られダンスを踊った。


 アリエッタは他の人を誘ってと断ったし、レオを誘いたがってる令嬢が機会を窺う気配は常に付き纏った。なのにレオときたら、アリエッタを片時も離さないからその機会が訪れず、令嬢たちは歯軋りをしそうな勢いでアリエッタに嫉妬の眼差しを注いでいたのだ。


 そうしてレオも他の誰とも踊ることを拒み、アリエッタがダンスのパートナーまでつとめることとなり。


 初めはたどたどしくステップを踏んだアリエッタだが、昔取った杵柄なのか、レオのリードが素晴らしく上手いのか。なんとかレオの足を踏みつけることなく踊りきった。


 もう10年も前に習ったダンス。身体は覚えてるものだな、とアリエッタは内心苦笑する。


 



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