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隠匿の令嬢
第12章 檻の邸
「殿下、この子は私の娘でリリスと申します。今日社交界に出したばかりでして」
「はじめまして、レオナルド殿下。お逢いできて光栄ですわ」
リリスはライラック色のドレスを広げ、可愛らしく微笑む。その腕はドレスと揃いの手袋が二の腕まで覆っていた。
「こちらこそ。デビューが今日とは奇遇ですね。実は彼女もなんです」
レオが硬い表情のアリエッタを見遣る。
そこで初めて二人がアリエッタに注視を注ぐ。今まで意図的にアリエッタを無視してきただろう二人は、レオに紹介されれば無視出来ない。
「……そう、でしたか」
何ヵ月ぶりかに交わる父との視線。余計なことは言ってないだろうな、と眼で聞かれてるようで。
アリエッタはレオに気取られない程度に首を縦に振る。
「紹介していただいても?」
それで伝わったのだろう。父が他人のふりをしてレオに尋ねる。
──だが、レオの言った言葉に、この場の全員が驚いた。
「おかしなことを仰いますね。知らないはずないでしょう。だって……彼女はあなたの娘なんですから」
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