この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
隠匿の令嬢
第12章 檻の邸

どうしてそれを知っているのか。その疑問が浮かぶ余地がないほど、驚愕する。父やリリスも同様に驚いた様子である。
周囲にいた人々もにわかに騒ぎだす。
「それは……」
「ああ、公爵流の冗談ですか?」
レオだけがどこまでも冷静な口調だ。動揺するアリエッタは気が付かない。そんな彼の瞳が冷え冷えとしているのに。
「冗談なんてとんでもない。あまりに見違えてしまって……一瞬誰だか解らなかっただけですよ」
「なるほど、そうでしたか」
「ええ。アリエッタ、久しぶりだね」
わざとらしく親しげに親子の再会を演出し、父がアリエッタを抱き締める。
何年も……いや、ほとんど記憶にない父の抱擁は末恐ろしさを伴った。
「どういうことだ」
そう耳打ちされ、背中に冷たい汗が伝う。震えるアリエッタをリリスも抱擁してきた。
「お姉さま、ご無沙汰しております」
リリスもまた「裏切り者」と周囲に聴かれない囁きをアリエッタに残した。
.

