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隠匿の令嬢
第12章 檻の邸


「驚かせて悪かった」


 レオはアリエッタの横に腰掛け、肩を抱き寄せ擦る。アリエッタは言葉もなく、首を振る。


「なにも聞かないのか?」


 聞かないのではない。聞けないのだ。


 アリエッタにも聞かれて困ることがある。名を偽っていた理由や、自らの罪──レオに打ち明ける勇気がない。


「……アリエッタ。俺を信じろ、と言っただろ? 悪いようにはしない。誓ってだ」


「レオ……やっぱり私、家に……」


 ザキファス家の娘と知られたからには、レオの元にはいられない。父との約束だから。


「駄目だ。それだけは許可してやれん」


「レオ……」


「アリエッタ。俺にもまだ話せない事情がある。だがいつか必ずキミにすべてを話すから。それまで俺の傍で待っててくれないか?」


 アリエッタは揺れる。レオの傍にいたい。せめて絵が描き上がるまでは。


 けれど父やリリスへの償いもしなければならない。決して赦されはしないだろうが、どんな仕打ちが待っていようとも、アリエッタにはそれを受ける義務があるのだ。





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