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隠匿の令嬢
第12章 檻の邸

揺れるアリエッタをレオが抱き上げる。
「アリエッタ。なにも考えるな。……俺が考えなくさせてやる」
運ばれた先は寝台だった。
「レオ、待って。私……」
「なんだ? 俺が今日一番楽しみにしてたことを奪うのか?」
「それは……」
冗談めかして言われ、口ごもる。
そうだ。今日はレオが祝福される日だ。これ以上、彼に心配させてどうするというのだ。
アリエッタは悲哀も憂いも、恐怖さえ胸の内に閉じこめ、小さく困ったような笑みを向ける。
「ドレスを脱がす……楽しみ?」
「ドレスは包みだ。大事なのは中身だろ?」
「もう……」
キスの気配に泣き出しそうな瞳を瞼に隠す。
初めての夜を彷彿とさせる、優しく甘い蕩けるようなキスが降り注ぐ。
額に瞼に、頬や鼻先、そして唇。
彼が言ったよう、レオの腕の中にいるときは、なにもかも忘れられる。
痛みは伴うけれど……忘れた反動で更なる闇が待っているけれど。
レオが笑顔でいてくれるなら、それでいい──。
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