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隠匿の令嬢
第12章 檻の邸
レオが戻ってきたのは、空が茜色に染まる少し前であった。
ちょうどその時王妃から、子供時代のレオの話を聞かされていた。
昔から型に囚われない性格らしく、王さまとカードゲームを興じていた際に、どこで覚えたのかイカサマを使い、レオが圧勝した話にはアリエッタを驚かせた。
「でね。ズルをしたのをあとから明かすと王さまが大層お怒りになられたの。でもレオったら“イカサマを見抜くのもゲームのうちですよ”って言ってね。あんまり悪びれずに言うものだから、私呆れて笑っちゃって」
クスクスと王妃が思い出し笑いを洩らしていると、咳払いが聴こえた。
そちらを見遣ると、片眉を上げて腕組をするレオが立っていた。
「あら、レオ。お帰りなさい」
「母上。あまり余計なことをアリエッタに吹き込まないでもらえますか」
「余計なことじゃないわよね? 事実だもの」
「あのですね……。まあ、いいでしょう。とりあえず、私たちはこれで失礼します。ほら、アリエッタ。邸に帰るぞ」
アリエッタに歩み寄るとレオが立つよう促してきた。
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