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隠匿の令嬢
第12章 檻の邸



『アリエッタを貶めることまで言われてるの、ご存知ですよね!? なのに見てみぬふりをなさってるご説明、きちんとしていただけなければ、今後一切アリエッタに私が近付けさせませんからっ!!』


 サロンに飛び込むように入り、セドリックを含む友人と談笑するレオにニーナが食ってかかった。


 セドリックが割って入らなければ、それこそ殴り倒す勢いで。


『申し訳ない。ですが見てみぬふりをしてるわけではないですよ。私も彼女から詳しい事情を聞かされてないもので。その点、あなたなら何か知ってるのでは?』


『……確かに聞いてます。そうですね。レオナルド様はただのモデルでしょうから、聞かされてないのも当然でしたわね。彼女は……アリエッタは間違いなくザキファス公爵家の娘です。隠していたのは彼女自身の意志によるもの。純粋に絵の才能を試すには、ザキファスの名は邪魔になるからって』


 このパフォーマンスは二つの効果をもたらしていた。ひとつはレオとは単なる友人関係だと強調する効果、もうひとつは言わずもがな名を変えていた理由を知らしめることだ。





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