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隠匿の令嬢
第12章 檻の邸
実際はこの何倍も騒ぎ立てたらしいニーナ。
「王太子を怒鳴り付けるなんてあたしくらいでしょうね。武勇伝として語り継がれちゃうかも」
自分のために無茶をしないで欲しいというアリエッタの心配をよそに、ニーナは誇らしげに胸を張る。
「俺もいい経験だった。ニーナ嬢が去ったあとのみんなの顔といったら……」
くつくつと喉を鳴らすレオ。どんな状況も楽しめるのは、彼の才能かもしれない。
「あたしはひやひやしたわよ。演技って知ってても、ニーナがレオを殴っちゃうんじゃないかって」
そういうセドリックも愉快そうだ。
「というわけで。アリエッタはなーんの心配もせず学校来ればいいからね」
「ニーナ……。レオもセドリック様もありがとうございます」
アリエッタのために色々と考え、動いてくれる人がいる。こんなにも喜ばしく満ち足りた気持ちになることが他にあるだろうか。
三人に再度礼を言えば笑みに包まれた。
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