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隠匿の令嬢
第13章 知られざる秘密
「実はあの場で申し上げなかったことがあります」
ドレスの上で重ねる冷たい手を、レオの掲げた手が降りてきて握った。
「前々からアリエッタに求愛をしてるんですよ」
──え?
アリエッタは驚愕に眼を剥き、レオの横顔を見詰める。
もちろんそんな事実はない。どうして彼は嘘をつくのだろう──。
レオの意図が読めず、アリエッタがレオを見詰める視界の端。憎しみを隠しもせず、リリスが唇を震わせ睨んでいるのが見え、咄嗟にレオの手から逃れてようとすれば、さらに強く握られる。
「けれどどうも彼女、気掛かりなことがあるようで。なかなか色好い返事をいただけないのです」
「なんと……! まさか殿下から我が娘が想いを寄せていただけるとは」
違う。そうじゃない。レオには別の想い人がいるのだ。
こんな嘘をつき、レオはどうしようというのか。
恐怖と混乱で狼狽するアリエッタに、レオのついたとんでもない嘘の意味を父の態度が教えてくれた。
「アリエッタ。またとない話だ。お前はなんの心配もせず、お受けしなさい」
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