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隠匿の令嬢
第13章 知られざる秘密



「……さない」


 リリスの呟きに、母が気遣わしげな視線を送る。


「リリス?」


「赦さない!!」


 リリスが勢いよく立ち上がった拍子、ガターンと椅子が転がる。アリエッタは息を呑んだ。


「お姉さま! どういうこと? 私との約束をお忘れになったの? この前私におっしゃったことは嘘だったの!?」


「リリス! やめないか! 殿下の御前だぞ」


 父の制止はリリスに届いてないかのよう、アリエッタを責め立てる。


「忘れたとは言わせませんわ。お姉さまが私にした仕打ち」


「リリス、聞いて……。私……」


 アリエッタのためを思い、レオが嘘までついてくれたのは感謝はしてる。だが事実ではないのだ。


 アリエッタは釈明と償う意志はあると伝えようとする前。今度はレオに狂気の眼を向けた。


「殿下もお姉さまに騙されてるんですわ! それとも美しい容姿に拐かされたのですか?」


「リリス、やめろと言ってるだろう! 殿下に失礼じゃないか!」


「お父さまは黙ってて!」


 父とリリスの怒声が交差する室内で、ただひとり涼しい顔をレオは崩さなかった。





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