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隠匿の令嬢
第13章 知られざる秘密
「アリエッタが騙してるとは……。それはまた興味深い話ですね。どういうことですか?」
ゆったりとソファーに背を凭れ、レオはリリスを見上げる。
「お姉さまはね。か弱く無害なふりをして、妹の私に酷い仕打ちをするような人なのよ!」
もうやめて欲しかった。狡い女だと思われてもいい。けれどレオには……レオにだけは己の犯した罪を知られたくなかった。
幻滅し、蔑む眼差しでレオから見られたくなかった。
だが「あっ」と思った次の瞬間。リリスが二の腕まで覆う手袋を脱ぎ去り、床へと荒々しく捨てた。
「これを見てください。この醜い傷痕を!」
火傷で引き攣る肌はリリスの成長でアリエッタの知る頃より広範囲に渡り、未だ痛々しく残っている。
「この傷はお姉さまによってつけられたものなんです。お父さまとお母さまから可愛がられる私に嫉妬して、わざとお湯をかけられたんです!」
「ち……」
違うと叫びたかった。けれどあの日の記憶は曖昧で。覚えているのはリリスの悲痛な叫びだけ。
覚えていないアリエッタがどうして否定できようか。
それにアリエッタがリリスに怪我を負わせた事実は、想いがどうであっても変わりはないのだ。
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