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隠匿の令嬢
第13章 知られざる秘密
痛いほどの静寂がリビングを包む。
その時間はとてつもなく長く感じられたが、実際は数秒といったところだろう。
最初に動きを見せたのは父であった。
「ど……どういうことですか? いくら殿下といえど、娘を愚弄するのであれば、私とて黙ってはおりませんぞ」
「公爵。私はリリス嬢を愚弄する気など、毛頭ありません。ただ事実を述べたまで」
「事実……ですと? 何も知らない殿下が何を根拠にそう申されるのですかな?」
「確かに私から申し上げるのは少々荷が重い。ですのでその役は別の者にさせましょう」
レオはそう言うと懐から白い布にくるまれた何かを取り出す。
皆の注目を浴び、ほどかれた布から現れたのは使用人を呼ぶベルであった。
──リン、リン
涼やかな音色が響く。
すると間もなくリビングの扉が開き。
そしてここにいるはずのない人物──ジョシュアが入ってきて一礼をした。
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