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隠匿の令嬢
第13章 知られざる秘密



「やめて……。やめさせて! こんな茶番誰か止めなさい! あなたたちも即刻出ていきなさい! 一言でも話したら、ただじゃおかないからっ!」


 リリスが金切り声で騒ぎ立てる。それを制したのは、母であった。


「リリス。座りなさい」


「お母さま!」


「座りなさい、と言ったの」


 気弱な母が初めて見せる強気な態度。リリスはそれに怯んだのか、渋々オースティンが元に戻した椅子に腰をおろした。


「……私も真実が知りたいのですよ。あの日……リリスが怪我をした日。本当は何が起こったのか」


「お姉さまが私に怪我をさせた! それがすべてよ! お母さまは誰の味方なの?」


「私は二人の母です。……いえ、母でなくてはいけなかったの。でもずっと逃げてしまっていたわ。これは殿下がくださったチャンスよ。真実がどうあれ、私たちは向き合わなければならないの」


 毅然と言う母の言葉はリリスに向けられたもの。けれどアリエッタや父にも向けられたものであるよう感じた。






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