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隠匿の令嬢
第13章 知られざる秘密
「熱さで跳ねたお嬢さまの手にヤカンがひっくり返って……。そしてお嬢さまの腕に熱湯が……」
コックは両手に顔を埋め、崩れ落ちる。
女の啜り泣く声が異常に大きく響いた。
「それは……本当なのか?」
父が怒りに震える声を出す。顔は真っ赤に染まり、溢れ落ちんばかりに眼を剥き、コックをねめつける。
「はい……。本当でございます」
「ならばなぜ今まで黙ってた!? なぜだ! アリエッタがやったことになってたのだ!?」
「アリエッタお嬢さまが……あのとき申されたのです。……私がやったことにするから、絶対口外してはならないと……!」
「そ……、そうだとしても人に罪をなすりつけ、よくもまぁ、のうのうと働けたものだな!!」
「申し訳ございません……! 私……年老いた病気の母を養うため、ここを追い出されるわけにいかなかったのです!」
「そんな言い訳聞きたくもない!」
「お父さま、やめて!」
コックを責め立てる父にアリエッタが叫んだ。
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