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隠匿の令嬢
第13章 知られざる秘密
だがどうだ。コックがさめざめと泣く姿を見て、あの時の判断が正しかったのか……。
リリスに怪我をさせ、アリエッタに罪を着せたふたつの罪悪感を背負わせてしまっただけではないのか。
「ごめんなさい……。ごめんなさい、私のせいで……」
謝っても犯した罪は消えはしない。散々学んできたのに、それでもアリエッタには謝罪を口にすることでしか彼女を慰める方法がないのだ。
「アリエッタが謝る必要はない」
涙を堪え、拳を握るアリエッタにレオがきっぱりと言う。
「でも……」
「それにまだ終わってない。この場にもうひとり、証言者が残ってる」
「……え?」
「そうですよね、リリス嬢」
レオに指名されたリリスがビクリと跳ねる。
白皙の肌は血の気が失せ、一層白みを帯びている。
「その様子から察すると、あなたは覚えていたのでは?」
レオの冷たい双眸に射抜かれたリリスはひどく怯えた。
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